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2014年05月30日

ジョン・ビールの恐るべきフィンガージグ

■ 脚注 ■ この記事に登場するフィンガージグを、アメリカに短期留学した際に探しましたが、見つからないまま終わりました。国産製品でいったら、TIEMCO社のPDLスーパーマイクロチューブ
ジョン・ビールの恐るべきフィンガージグ


によく似た、3〜4cm程度の小さなチューブワームのようです。


John Bealeは、今や南カリフォルニアの伝説のアングラーである。知り合い達からは「ハーメルンの笛吹き」ならぬ「クラッピーのJohn]」と呼ばれている。数年前、彼は非公式なセミナーで、どのようにして彼のとても小さくて可愛らしいルアーが彼を伝説に仕立てたのかを紹介した。それによると1989年の1年間で、彼は5kg以上のトラウトを9匹釣った。そのうちの2匹は8kgを越えていた。この9匹のほとんどは、放流しては釣られることを繰り返してる、そんな管理釣り場みたいなリザーバーだった。ハード・コアなアングラーは、彼を冷ややかに笑うだけかもしれない。そんな放流魚だらけの湖だったら、そんな魚も簡単に釣れると...。しかし、こうした湖に足繁く通っているのに、5kg以上のトラウトを手にしたことすらない真面目なアングラーなら、そんないちゃもんは付けないはずだ。繰り返す。彼は、それをたった1シーズンで釣ったのだ。

おまけに、彼を疑う懐疑論者の自信をこてんぱんに打ちのめす、もう一つの成果を彼は挙げた。ある年、彼はカリフォルニアの北から南まで、いろんな湖と川を旅して釣った。で、Bealeと4人の仲間は、たった3日間で700匹のトラウトを釣り上げたのだ。釣ったトラウトは、レインボーだけでなく、ブルックもブラウンも含んでいる。彼らはいつも通り、そのトラウト全部をリリースしたことも、ここで付け加えておこう。彼の成功を支えるシークレットは、一体、何だったんだろうか?。彼の秘密のベイトは年とともに進化して、彼が『フィンガー・ジグ』と呼ぶリグが誕生した。フィンガー・ジグは、高度に洗練された技術とともに、全てのトラウト・アングラーがタックルボックスに準備すべきルアーとなった。

■ ルアー ■

一見したところ、彼の創作品は、どうにも見栄えのしない一品だ。パンフィッシュ・アングラーがよく使うチューブ・ワームと、見かけは全く変わらない...。誰もが、この1/64オンスか1/32オンスのジグが、そんなとんでもないリグだとは信じられない。しかしBealeは、この小さなリグに様々なテクノロジーを注ぎ込んでいる。まず最初、この中空状のチューブは、ビニールではなく、特殊な樹脂化合物から出来ている。Bealeによればこの違いが重要だ。普通のチューブ・ワームと違って、フィンガー・ジグのスカートのヒラヒラは、お互いにくっつくことなく独自に揺らめく。これが、彼のチューブ・ワームがまるで呼吸する本物の生き物のように見える秘訣だという。何年もかかって、フィンガー・ジグはそのバランスと対称性を改善してきたことも、Bealeの自慢だ。彼は、フィンガー・ジグを真似たリグは全て、まだまだ、傷ついた小魚の回転するような泳ぎを再現できていないと言う。彼は、彼が使っているジグ・ヘッドで特許も取っている。つまり、針の根元から先端まで、フィンガー・ジグのバランスは完全に計算されている。例えば、フィンガー・ジグのスカートの1本1本は、全てまったく同じ重さをもっている。

それから、この、Bealeの生き物をよく調べてみると、重心の取り方が他のジグヘッドとは違うことが分かるはずだ。フィンガー・ジグの鉛部分は、チューブ先端外側のフックの根元ではなく、チューブの中空スペースについている。

もし君がバス・アングラーなら、バス・プロがFat GitzitやPower Tube、それにFatzeeといったチューブ・ベイトにチューブ専用のジグヘッドを装着するのと共通性があることに気付いたはずだ。こうすることで、中空状のボディーは水中でとっぴで不規則な動きをするようになる。Bealeは、標高が高い湖やトラウトが警戒心を強めてる湖では軽めの1/64オンスを使って欲しいと提案している。そして、大きなリザーバーや大物狙いの時に重めの1/32オンスを使って欲しいそうだ。

Bealeによれば、カラーは水の透明度次第だという。透明度の高い湖ならsmoke/sparkle、rainbow、clear/silver、brown、orange with red flakeがいいそうだ。濁り気味の湖では、さらに明るいカラーがいいと言う。実例を挙げよう。アナハイム湖に行った時、湖の透明度は低く緑色だった。Bealeはすぐにチャートリュースのフィンガー・ジグに切り替えた。その日の彼の釣果は、彼の選択の正しさを証明した。

■ タックル ■

Bealeと一緒に釣りをすると、彼が彼のフィンガー・ジグを活かすために、どれだけタックル・バランスに気を使っているかに驚かされる。彼曰く、フィンガー・ジグには7フィートのパラボリック・アクションでティップが柔らかい竿がいい。グラファイトよりグラスがいい。グラス・ロッドの方が、柔らかなアクションを演出してくれる。トラウトは優しくフィンガー・ジグをついばむようだ。張りのあるグラファイト・ロッドでは、どうしても、トラウトの口をはじいてしまう。

Bealeはこの竿に軽量のスピニング・リールをセットする。彼は、とにかくドラッグ性能のいいリールが必須だという。それから彼は、緑色系の2ポンドのラインも譲れないという。彼は、フィッシング・プレッシャーの高い湖では、このラインだけが気まぐれなレインボーに気付かれないと頑なに信じている。

■ ウキ ■

驚いたことに、Bealeのシステムで最も興味をそそられる要点は、フィンガー・ジグを漂わすための、小さなプラスチックのウキだという。それは基本的にはパン・フィッシングでよく使われる、赤や白や蛍光色の、何の珍しさもないウキである。しかし、このウキを使う前にBealeがウキに細工をすることは、未だにあまり知られていない。まず、2ポンドのラインを使っても大丈夫にするための加工を行う。ウキは、プラスチックを鋳型に流して整形されるが、この時、刃物ほどではないにせよ、鋭い突起が残る。これを爪切りで落とし、紙ヤスリで角を丸くツルツルにする。2ポンドのラインは切れやすいので、この作業は必須である。

ウキのサイズは、湖の状況に合わせて選択する。Bealeによると、都市近郊の湖なら直径1/4インチか1/2インチがいい。大きな潅漑貯水池や風の日など、飛距離が要求される時には最大1インチまでスケール・アップする。

ウキをこの方法にカスタマイズする、もう一つの方法がある。ウキに注意深く小さな穴を開ける。そこに、ボール・ベアリングか細い針金を入れる。エポキシ接着剤で穴をふさぐ。この余分のウェイトは、飛距離を伸ばしてくれる。また、全体のバランスを損なうこともない。しかしBealeは、可能ならば軽いウキを使うべきだと念を押した。トラウトが違和感を感じてジグを口から出してしまう可能性がある。ウキが軽いほど、トラウトがジグを口にした時の抵抗が小さくなる。小さなウキなら、トラウトがバイトした時、すぐに水面から沈んでいく。

もう一つ、ウキの選択について話しておくことがある。最近Bealeは、コンパクトでスナップ方式の最近流行のウキ、それもクロム・メッキの奴を試しているという。このウキには切子面が刻まれていて、ウキが水面で揺り動く時にキラキラ光を反射する。コノシロのようにキラキラ反射する小魚の多い湖では、この角張ったクロム・メッキのウキが、表面を疾走する小魚の群に見えるかもしれない。このキラキラには、腹を空かしたレインボーに何だろう?と思わせる効果がありそうだ。

■ プレゼンテーション ■

フィンガー・ジグはウキの下に5-7フィートのリーダーをつけるので、キャストにコツが要る。Bealeは輪投げの要領で、まずは頭上で円を描く。これを何回転かしてリーダーが完全に円を描くようになったところで、ラインを離す。キャストが完了したところで、この釣りの佳境、リトリーブに入る。ロッドを持つ手の人差し指をピンッと突き出すのがコツだ。リーリングを始めると、ベールが一回転する毎にラインが人差し指に当たる。ラインが指に当たって、指からパチンと外れるたびに、ジグが水中でホップしたりジャンプしたりする。これが半狂乱状態にあるベイトフィッシュを演出する。しかし、これは、テクニックとしては序の口である。

時々リーリングを止めて、ポーズを入れることも重要である。ポーズの時間は、ウキの動きが止まるまでとする。この時、ジグは円を描いて泳ぐ。たしかにジグはウキに動きが制限されるが、ウキを君が動かさない限り、ジグは円を描いて泳ぎながら沈んでいく。もしウキを動かせば、反対側に動き出す...後ろにダートするわけだ。また、フィンガー・ジグを動かすと、つねにスカートが開いたり閉じたりする。そんな訳で、フィンガー・ジグをゆっくりとしたストップ&ゴーで使うと、とても魅惑的なアクションをしてくれる。波や水流も同様にして、この小さなルアーをとても生き物らしく演出する。

Bealeは時々、ウキをつけず、2ポンドラインに直接フィンガー・ジグを結ぶことがある。この場合も、リトリーブ時には人差し指を伸ばして、ラインをはじく。

トラウトは、いつも一気にこの小さなルアーを飲み込むわけではない。小魚相手のウキ釣りに似ている。ウキをピコピコ上下に揺するだけの時もある。ウキがす~っと横に動くこともある。そんな時は「い~ち、に~い」と2つ数えてからあわせるといい。ウキを使わない場合は、ラインが水面下に沈むところに注意する。あたりは時として、ラインがチョンッと動くだけだったり、わずかにライン・テンションがかかるだけ、という場合がある。

■ さらなる応用 ■

クラッピーのJohnの方法は、他の淡水魚にも有効だ。Bealeはいくつかの湖で、それを証明している。彼の方法を試してみるといい。岸からでもボートからでも、フローターでもウェーディングでも有効だ。例えば、こんなに極小のチューブを使っているのに、この方法は、ブラックバスにも有効だそうだ。彼はキーパーサイズのバスを無数に釣ったという。他のどんな方法が駄目でも、この方法なら成功することは、もはや疑問の余地もない。

最後に、チューブ・ベイトの活用法に触れておこう。西海岸のバスプロMike Folkestadは、5kg以上のバスをこれまでに100匹以上釣り上げた猛者である。その彼が、シェラネバダ山脈のとあるリザーバーに出かけた時のこと。Folkestadがバス用のサイズのチューブ・ベイトを岸から投げると、大きな魚がヒットしてバレた。バレたのは、どうみても7kgはあるブラウンだった。それ以来、彼はバス用のチューブでランカー・サイズのブラウンやレインボーを仕留め続けている。どうやら、大型のブラウンやレインボーは7~8cmのザリガニが好物なようだ。そして、チューブのフォーリングやジャークが、この甲殻類の動きにそっくりなのでは?..と彼は考えている。




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