2014年05月30日
アングラーのための陸水学入門
人間と同じで、全く同じ湖がこの世に2つあるなんてことはあり得ない。どの湖にも、その湖だけの個性がある。例えば人間の場合、初めて出会った人の個性を1日で完全に理解するのは不可能だ。それと一緒で、湖の特徴をすぐに理解出来るなんて、そんなこと、期待しちゃいけない。
湖は形も大きさも様々で、ぴんからきりまで色々ある。砂防ダムが作ったちっちゃな池みたいなリザーバーもあれば、太平洋並にでっかい奴まである。湖のトラウト・フィッシングで成功するには、一体どこにトラウトがいるのか?、何故そこにいるのか?、それを理解しなくちゃだめだ。そのために何を知るべきか?。それは水(H2O)だ。水にはたった1つ、とてもユニークな特徴がある。もしその重要性を理解すれば、君は、君の釣りをこの先もずっと、もっともっと!、洗練させる事ができる。
水は4℃でもっとも重くなる。それより冷たい水も、それより温かい水も、4℃の水より軽い。4℃より冷たくなるほど、4℃より暖かくなるほど、水はどんどん軽くなる。そこで冬には、4℃より冷たい水が湖面に浮かんでくる。一方夏には、4℃より暖かい水が浮かんできて、こうした軽い水の層の下には、1年中温度が一定の、4℃の重い水が横たわっている。そして年に2回だけ、春に氷が解けた後と、冬に氷が張り出す前にだけ、湖は水面から湖底まで均一に水温4℃になる。この神秘的な期間を『ターンオーバー』と呼んでいる。誰でも一度は、プロショップでこの台詞を聞いたことがあるはずだ。湖面に風が吹けば、水面にわずかな水流を巻き起こす。ターンオーバーの期間なら、風は、湖全体をかき回す水流を巻き起こす。風上側では深いところの水がかき揚げられて、風下側では水面の水が湖底に潜り込んでいく。つまり、湖底と水面の間に「水の大循環」が出来上がるんだ。この水循環は、湖底に沈んだ栄養分を水面に巻き上げる。運ばれた養分は水中植物や藻類、プランクトンを養ってくれる。さらにこの水循環は、表層の酸素を深い湖底まで運んでくれる。トラウトが浅場にも深場にも何処にでも現れるのは、この、年にたった2回の、ターンオーバーの時である。

季節が春から夏に向かうと、状況が一変する。まず、水面の水が温められて軽くなる。そこで、この暖かい水が風に流されて対岸にたどり着いても、軽すぎて深くまで潜り込めない。そこで、湖底に到達する途中で逆向きに流れを作っていく。重くて、じっと動かなくなった冷たい水の層と、水が循環して均一に暖まった水の層の境界を、サーモククライン(水温躍層)と呼ぶ。

サーモクラインは暑さの盛りまで、徐々に深くなっていく。そして、涼しくなってきた秋からは、徐々に浅くなっていく。
僕らはみんなトラウトを釣るには水温が重要だ!って教えられたはずだ。でも、それと同じくらいに酸素レベルが重要だってことは、誰も教えてもらえなかった...。大抵の場合、サーモクラインはトラウトに一番安心できる温度を提供してくれる(その上は暑すぎるし、その下は寒すぎる)。だけど、酸素レベルはどうなっているんだろうか?。
大きな湖の場合、夏に、サーモクラインとは別に、ケモクラインと呼ばれる境界面が現れる。ケモクラインから湖底までの層は、酸素レベルが極端に低下し、ともすればトラウトの命を奪いかねない「死の領域」となる。

小さな湖の場合、ケモクラインは現れないことが多い。寒冷帯から温帯、熱帯に向かうにつれ、晩秋と春のターンオーバーさえ現れなくなる。君のお気に入りの湖が、今までの説明が当てはまる常識的な湖なのか?、それとも例外的な湖なのか?、ちゃんと検討する必要がある。湖の個性は季節毎にも変化する。だから、こうした変化や違いを発見することを、君の人生の、至上の喜びとしなさい。

シャローは戦場だと思って欲しい。トラウトはUボート(第二次世界大戦の戦闘船)さながらにシャローに危険覚悟で攻めてきて、シャローに浮かんでる護衛艦(昆虫やベイトフィッシュ)を餌食にしようと躍起になっている。水面の上からは、猛禽類や水鳥やアングラーが今か今かと自分たちを狙っているというのに...だ。もし、こんな危機的な状況の中で餌にありつけた日には、明日も元気に暮らす勇気が湧いてくる。だけどもし失敗したら、明日にだって飢え死にする可能性がある。そうなれば、水面に浮かんだあげくに、最後は鳥の糞になって岸辺にばらまかれて終わるしかない...。とにかくこれだけは覚えて欲しい。シャローはとても危険で居心地が悪いこと。でも、生きていくためには敢えて危険を冒す必要があること。最後に、シャローに出てきてるトラウトはめちゃくちゃ神経質なこと。
湖は形も大きさも様々で、ぴんからきりまで色々ある。砂防ダムが作ったちっちゃな池みたいなリザーバーもあれば、太平洋並にでっかい奴まである。湖のトラウト・フィッシングで成功するには、一体どこにトラウトがいるのか?、何故そこにいるのか?、それを理解しなくちゃだめだ。そのために何を知るべきか?。それは水(H2O)だ。水にはたった1つ、とてもユニークな特徴がある。もしその重要性を理解すれば、君は、君の釣りをこの先もずっと、もっともっと!、洗練させる事ができる。
水は4℃でもっとも重くなる。それより冷たい水も、それより温かい水も、4℃の水より軽い。4℃より冷たくなるほど、4℃より暖かくなるほど、水はどんどん軽くなる。そこで冬には、4℃より冷たい水が湖面に浮かんでくる。一方夏には、4℃より暖かい水が浮かんできて、こうした軽い水の層の下には、1年中温度が一定の、4℃の重い水が横たわっている。そして年に2回だけ、春に氷が解けた後と、冬に氷が張り出す前にだけ、湖は水面から湖底まで均一に水温4℃になる。この神秘的な期間を『ターンオーバー』と呼んでいる。誰でも一度は、プロショップでこの台詞を聞いたことがあるはずだ。湖面に風が吹けば、水面にわずかな水流を巻き起こす。ターンオーバーの期間なら、風は、湖全体をかき回す水流を巻き起こす。風上側では深いところの水がかき揚げられて、風下側では水面の水が湖底に潜り込んでいく。つまり、湖底と水面の間に「水の大循環」が出来上がるんだ。この水循環は、湖底に沈んだ栄養分を水面に巻き上げる。運ばれた養分は水中植物や藻類、プランクトンを養ってくれる。さらにこの水循環は、表層の酸素を深い湖底まで運んでくれる。トラウトが浅場にも深場にも何処にでも現れるのは、この、年にたった2回の、ターンオーバーの時である。

季節が春から夏に向かうと、状況が一変する。まず、水面の水が温められて軽くなる。そこで、この暖かい水が風に流されて対岸にたどり着いても、軽すぎて深くまで潜り込めない。そこで、湖底に到達する途中で逆向きに流れを作っていく。重くて、じっと動かなくなった冷たい水の層と、水が循環して均一に暖まった水の層の境界を、サーモククライン(水温躍層)と呼ぶ。

サーモクラインは暑さの盛りまで、徐々に深くなっていく。そして、涼しくなってきた秋からは、徐々に浅くなっていく。
僕らはみんなトラウトを釣るには水温が重要だ!って教えられたはずだ。でも、それと同じくらいに酸素レベルが重要だってことは、誰も教えてもらえなかった...。大抵の場合、サーモクラインはトラウトに一番安心できる温度を提供してくれる(その上は暑すぎるし、その下は寒すぎる)。だけど、酸素レベルはどうなっているんだろうか?。
大きな湖の場合、夏に、サーモクラインとは別に、ケモクラインと呼ばれる境界面が現れる。ケモクラインから湖底までの層は、酸素レベルが極端に低下し、ともすればトラウトの命を奪いかねない「死の領域」となる。

小さな湖の場合、ケモクラインは現れないことが多い。寒冷帯から温帯、熱帯に向かうにつれ、晩秋と春のターンオーバーさえ現れなくなる。君のお気に入りの湖が、今までの説明が当てはまる常識的な湖なのか?、それとも例外的な湖なのか?、ちゃんと検討する必要がある。湖の個性は季節毎にも変化する。だから、こうした変化や違いを発見することを、君の人生の、至上の喜びとしなさい。

シャローは戦場だと思って欲しい。トラウトはUボート(第二次世界大戦の戦闘船)さながらにシャローに危険覚悟で攻めてきて、シャローに浮かんでる護衛艦(昆虫やベイトフィッシュ)を餌食にしようと躍起になっている。水面の上からは、猛禽類や水鳥やアングラーが今か今かと自分たちを狙っているというのに...だ。もし、こんな危機的な状況の中で餌にありつけた日には、明日も元気に暮らす勇気が湧いてくる。だけどもし失敗したら、明日にだって飢え死にする可能性がある。そうなれば、水面に浮かんだあげくに、最後は鳥の糞になって岸辺にばらまかれて終わるしかない...。とにかくこれだけは覚えて欲しい。シャローはとても危険で居心地が悪いこと。でも、生きていくためには敢えて危険を冒す必要があること。最後に、シャローに出てきてるトラウトはめちゃくちゃ神経質なこと。
Posted by 寅 at 22:00│Comments(6)
│USAの記事から
この記事へのコメント
はじめまして。科学的な思考から釣りを読み解く記事に大変多くを学ばせていただいております。ありがとうございます。
こちらの記事の原著の名前がわかれば教えていただけますか?
フライフィッシング教書のイラストと同じ方のものとお見受けしますが、原著を見つけられず。よろしくお願いします。
こちらの記事の原著の名前がわかれば教えていただけますか?
フライフィッシング教書のイラストと同じ方のものとお見受けしますが、原著を見つけられず。よろしくお願いします。
Posted by TJ at 2024年12月08日 11:31
TJさん
こんにちは。問い合わせの本ですが、ちょっと、自信のない返信となってしまいます。というのも、断捨離で、本自体を捨ててしまったのです。
ですから、もしかしたら、間違っているかもしれません。
この記事の本は、フライフィッシング教書の方とは違います。で、アメリカのamazonで、今、探したのですが、多分
https://www.amazon.com/Fish-Guide-Catching-Larger-Trout/dp/1571881425/ref=sr_1_104?crid=3VLQRT03J3CXZ&dib=eyJ2IjoiMSJ9.VmNzzUjK6LRXdeQLs2J9Z4weHzNsh8gRKH86Xoo5FpBm0NK1Drv-aTZwOkRTIYt8xGI7oUxfN93KojRAl7zBm5K034nwE1pATkFKwQLDo-oCqie4s-cSXrdHVhIzAwg9wzp_swOYGltqPqywursdPQ7n-VrfXLhWghjnBPB3OYM.r21oi5ByuRKQPClWI4oyHbHoSbO8lGmX1GI26Y292RI&dib_tag=se&keywords=lake+trout+fishing&qid=1733632654&s=books&sprefix=lake+trout+fishing%2Cstripbooks-intl-ship%2C249&sr=1-104
で、間違いないと思います。
The Fish Bum's Guide to Catching Larger Trout: An Illustrated Manual on Stillwater Tactics for the Intermediate Fly Angler
Publisher : Frank Amato Pubns; F First Edition (January 1, 1998)
Language : English
Paperback : 96 pages
ISBN-10 : 1571881425
ISBN-13 : 978-1571881427
なにせ、読んだのが20年前です。もしかしたら、間違っているかもしれませんが、99%間違いないと思います。
よろしくお願いします。
こんにちは。問い合わせの本ですが、ちょっと、自信のない返信となってしまいます。というのも、断捨離で、本自体を捨ててしまったのです。
ですから、もしかしたら、間違っているかもしれません。
この記事の本は、フライフィッシング教書の方とは違います。で、アメリカのamazonで、今、探したのですが、多分
https://www.amazon.com/Fish-Guide-Catching-Larger-Trout/dp/1571881425/ref=sr_1_104?crid=3VLQRT03J3CXZ&dib=eyJ2IjoiMSJ9.VmNzzUjK6LRXdeQLs2J9Z4weHzNsh8gRKH86Xoo5FpBm0NK1Drv-aTZwOkRTIYt8xGI7oUxfN93KojRAl7zBm5K034nwE1pATkFKwQLDo-oCqie4s-cSXrdHVhIzAwg9wzp_swOYGltqPqywursdPQ7n-VrfXLhWghjnBPB3OYM.r21oi5ByuRKQPClWI4oyHbHoSbO8lGmX1GI26Y292RI&dib_tag=se&keywords=lake+trout+fishing&qid=1733632654&s=books&sprefix=lake+trout+fishing%2Cstripbooks-intl-ship%2C249&sr=1-104
で、間違いないと思います。
The Fish Bum's Guide to Catching Larger Trout: An Illustrated Manual on Stillwater Tactics for the Intermediate Fly Angler
Publisher : Frank Amato Pubns; F First Edition (January 1, 1998)
Language : English
Paperback : 96 pages
ISBN-10 : 1571881425
ISBN-13 : 978-1571881427
なにせ、読んだのが20年前です。もしかしたら、間違っているかもしれませんが、99%間違いないと思います。
よろしくお願いします。
Posted by 寅
at 2024年12月08日 13:43

訂正します。100%、間違いないです。この記事の、主役のアングラーと、本の表紙が、全く同じです...(笑)。
26年前の本なので、絶版に近い状態のようですね。日本のamazonだと、2万円もします。アメリカのamazonでは、新品がないです。しかし、中古を1000円程度で買えるようです。
26年前の本なので、絶版に近い状態のようですね。日本のamazonだと、2万円もします。アメリカのamazonでは、新品がないです。しかし、中古を1000円程度で買えるようです。
Posted by 寅
at 2024年12月08日 19:26

寅様
お返事いただき、ありがとうございます。
イラストの吹き出しは日本語のようですが、昔日本語版も出ていたのでしょうか?いずれにしても、非常に興味深い内容が多そうですので、いずれ取得できるよう探してみたいと思います。
最近、支笏湖の釣りを始めましたが、こちらのブログのお陰で、途方もない湖の釣りの1キャスト1キャストに意味付けができ、非常に感謝しております。何度も通ってみたいと思いますので、釣り場でお会いできると幸いです、
お返事いただき、ありがとうございます。
イラストの吹き出しは日本語のようですが、昔日本語版も出ていたのでしょうか?いずれにしても、非常に興味深い内容が多そうですので、いずれ取得できるよう探してみたいと思います。
最近、支笏湖の釣りを始めましたが、こちらのブログのお陰で、途方もない湖の釣りの1キャスト1キャストに意味付けができ、非常に感謝しております。何度も通ってみたいと思いますので、釣り場でお会いできると幸いです、
Posted by TJ at 2024年12月08日 22:57
TJさん
支笏湖で釣りをされる方なんですね。
この記事の日本語は、私の翻訳です。日本語版は、出版されていません。
釣り場でお会いすることがあったら、よろしくお願いします。こちらは、チビでデブの、初老のおっさんです。食道がんの手術で声帯を切除しました。声が出ないので、すぐに、分かります。
よろしくお願いします。
支笏湖で釣りをされる方なんですね。
この記事の日本語は、私の翻訳です。日本語版は、出版されていません。
釣り場でお会いすることがあったら、よろしくお願いします。こちらは、チビでデブの、初老のおっさんです。食道がんの手術で声帯を切除しました。声が出ないので、すぐに、分かります。
よろしくお願いします。
Posted by 寅
at 2024年12月08日 23:03

寅様
お返事ありがとうございます。
自然に翻訳されていて、まったく気づきませんでした。当方ルアーもフライもやるのですが、当ブログのおかげで、支笏湖をはじめとする湖でフライにするのか、ルアーにするのか判断基準やどういう意図を持ってフィールドに向き合うのか大変視野が広がりました。素晴らしいブログと思いますので、是非ご無理のない範囲で、寅様の科学的な思考に基づく素晴らしい情報発信を心待ちにしております。
私はよく青いジャケットを着て釣りをしていますので、お気づきであればお声掛けください。楽しみにしております。
お返事ありがとうございます。
自然に翻訳されていて、まったく気づきませんでした。当方ルアーもフライもやるのですが、当ブログのおかげで、支笏湖をはじめとする湖でフライにするのか、ルアーにするのか判断基準やどういう意図を持ってフィールドに向き合うのか大変視野が広がりました。素晴らしいブログと思いますので、是非ご無理のない範囲で、寅様の科学的な思考に基づく素晴らしい情報発信を心待ちにしております。
私はよく青いジャケットを着て釣りをしていますので、お気づきであればお声掛けください。楽しみにしております。
Posted by TJ at 2024年12月09日 19:10